RUNABOUT!!

たまに自作パンを持って山を歩いたり走ったり、大会ボランティアしたりしています。更新度超低めでのんびりやってます。

ULTRA-TRAIL Mt.FUJI

記念すべき第一回UTMFのハーフ『STY』に参加してきました。
残念ながら約半分の地点にある熊森山にて関門クリアならずリタイアとなりましたが、素晴らしい経験ができました。

当初、UTMFの完走率は30%程度だろうと言われていましたが、予想を大きく上回り以下の通りだったそうですよ。


部門/出走/完走(時間内)/完走率

UTMF男子/777/562/72.3%
UTMF女子/75/49/65.3%
STY男子/1011/841/83.2%
STY女子/166/150/ 90.4%

合計 2029/1602/79.0%


スゴイ! みんな選手はこの日のために努力を惜しまなかったんですね。
トレイルランナーの心意気を見ました!w


さて、ここからはわたくしのヘタレレポートとなりますw

今回ウルトラトレイルは初ということでかなり警戒しましたよ。
上でも書いたように、完走率は相当低いだろうとの見解だったので、とにかく何が起きても乗り越えられる装備品を…ということで、こんな荷物になりましたw



なんと総重量10kg以上! ザックのサイズは28リットル!!(普通の人はあっても7kg程度らしい)
自称『移動要塞』ですw 仲間には『縦走スタイルじゃん』と言われる始末www

だってレギュレーションを満たす物を入れたら、こんなになっちゃったんだもの。
このレースのためだけにUL装備を新規で購入するのもアレだし、食料だって結構なお値段なんですよ?w
持ち合わせている道具をかき集めたらこうなったってことなんですわ。

まぁ、この荷物のお陰でネタには困らなかったんですけどねwww

前泊したおかげで入りの時間がかなり早く、余りまくりだったんでtwitterやFBなどで知り合った方々にご挨拶しまくり。 テンションはうなぎ上りですwww


そしてこれから始まる『旅』を見守る富士山。

スタートを待つ自分に素敵な言葉をいただきました。

『血の気の熱いころにこの風景(富士山)をみて感じぬ人間は、どれほど才があっても、ろくなやつにはなるまい。(竜馬がゆくより)』

ホントこの時ばかりはなんか力が湧いて来ましたよ。
いつもなら緊張しすぎて胸が苦しくなることはザラなのに、意外にも落ち着いているし。
富士山の力は本当にすごいと思ったw


太鼓が鳴り響く! カウントダウン! スタート!! 
一斉に走りだす選手たち! このアツさはぜひ会場で感じて欲しい。


あまりの美しさに足を止めてパシャリ。
富士山へ向かってゆく姿が美しすぎるよ。


こどもの国をしばらく走ると樹海に突入。
さすがにピーカンだったんで、日差しはかなり強めだが、木漏れ日が優しく選手を迎え入れる。

コースは概ね下り基調って話だったんだけど、意外と細かいアップダウンがある。
先は長いんで、無理して登りは走らない作戦だw

UTMFの選手とはこの辺りで合流。
すでに半分を走ってきているんで、とてもつらそう。 でも、確実に足を進めるんだからスゴイ。



14kmくらいの場所から送電線の下に。 18km地点の北山給水場(W1)までずっとこんな調子で、日差しが肌を焼いて結構キツイw
給水所でも長居はせず、水を二杯ほどもらって西富士中学校エイド(A8)まで急ぐ。
下りは走り、登りは歩きみたいなペースでのんびりとね。

そして15時に西富士中学校へ到着。
自分の予想では16時だったから、かなり速いペースだった。
これから先が最大の難関『天子山塊』なんで、チョットゆっくりとお休みを入れて補給をする。
ここでの目玉は『富士宮やきそば』。 これがすっごく美味しいの!
麺にコシがあってチョイピリ辛。 食欲をそそる。


十分に補給をして天子(てんし)という悪魔の待つ天子山塊へと向かうのであった。

しばしロードを走るといよいよ登山口。
ここからはストックも解禁ということで、ストックを出す選手多数。 自分は持っていないのでそのまま進みます。


ここからが本番…いえ、序の口ですよ。
この写真はまだ前半もいいところで、この先が地獄のような急登だったりするw

天子ヶ岳の頂上まで約2時間半…いや、もうちょっとかかったかな? 約800mひたすら登り。
頂上へ到着する頃にはもうかなり日もくれ、ライトなしではとてもじゃないけど先には進めない状態。
ライトを準備するついでに、地図を眺めて移動時間のチェックをする。

次の関門は長者ヶ岳。 関門は20時。 山と高原地図によると約50分の道のりだそうだ。
しかし、先の熊森山の関門は22時。 長者ヶ岳からは3時間45分かかるとのこと。
普通に考えると間に合う時間とも思えないが、西富士中学校を出る際に、六花さんのメディカルチェックで言われた言葉を思い出す。

『ここから先は非常に厳しい道程です。 リタイアすると自力でここ(西富士中学校)まで戻ってこなければなりません。 リタイアする場合は、必ずその体力を残しておいてください。』

そう、天子ヶ岳においてエスケープルートは無かったんです。
今来た道のりを戻るのは、なんとしてでも避けたいし、頑張ればどうにかなる可能性もなくはない。

もちろん選択肢は先に進む一択でw

天子ヶ岳の標高が1330mに対し長者ヶ岳が1335.8mということだけど、疲労の影響かイマイチペースは上がらない。

長者ヶ岳到着は19時半頃だった。 確実に予定の50分はオーバーしていたはず。
体力、気力的には結構限界な感じで、すぐに動くのもためらうレベル。 5分ほど悩む。

ここでリタイアしちゃったほうが楽だよな~と思い、ふと顔を上げるとそこには街の灯。
その美しさに思わず声を上げる、スタッフの方が『ここは晴れると目の前に富士山が見えるんですよ』と。
そんな話を聞いたら、ちょっと気力回復w 単純なもんだ。(明るい内に来たかったなー)

残された時間はわずかだが、行けることろまで行こう…と重い腰を上げる。

この時間だともう周りは真っ暗。
黒い猫のような動物に付きまとわれる幻覚を見たり、マジで動物がガサガサしていたりと日常生活で味わえない体験盛りだくさんw


長者ヶ岳と熊森山のちょうど中間地点付近にある湧水峠。
たまにスタッフの方が配置されていたり、他の選手と出会うとほっとするんだよなwww

そしていよいよ熊森山頂上への激登りが登場。
今まで殆ど人には会わなかったけど、ここに来て多くの選手が手間取っている様子。
(途中道端で寝ている選手は数人見たw ホント死んでいるのかと思ったよwww)
時計を見ると関門まであと15分ほど。 上を見ても頂上までどの程度あるのかサッパリ検討もつかない。
ついに足が止まりしばし呆然としていると、後ろから人が登ってきた。
twitterやFBでお世話になっている方だ。

関門の話などをしていると、『まだ行ける、がんばりましょう。 僕が引っ張りますよ』と励まされる。
でも、その方は足を故障していたにも関わらず、UTMFを気力と根性で突き進んできた人なのだ。
たかがハーフがフルの選手に励まされるとかどういうヘタレよ?

関門まで残り5分。 とにかく前に進もう。

そして程なく22時を越え、タイムアウト確定。
それでも足を止めずに頂上へ向かい、熊森山頂上到着は22時10分。 オレのSTYは終わった。


その後エスケープルート(熊森山までの道中で一番厳しい道だったけどw)から下山し、救護本部へ搬送。 一緒にリタイアした方の車で本栖湖スポーツセンター(A9)へ連れて行ってもらい、バスの出る朝まで待機しました。


朝、ゴールである河口湖大池公園後、次々とゴールする選手をお出迎え。
あの過酷なコースを乗り越えてきた選手の笑顔はなんとも眩しく美しかった。
人のゴールで涙が出たのは今回が初めて。

来年は必ず、あのゲートを潜ろうと心に誓うのでした。